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サイトエクセキュートの設計 -- 攻め側のチーム戦術

サイトエクセキュートの設計 -- 攻め側のチーム戦術

チーム戦術の3階層のうち、第2階層にあたるのがセットプレイ。なかでも攻め側の「サイトエクセキュート」は、チーム戦術を学ぶうえで最初にぶつかる大きなテーマになる。

サイトエクセキュート(site execute)とは、チーム全員が事前に決めた手順でスモークやフラッシュを使い、タイミングを合わせてサイト(爆弾設置エリア)に一斉に侵入する動きのこと。バラバラに突っ込むのとは根本的に違う。台本のある演劇に近い。ただし、台本通りにいかない場面も当然あるから、そこをどう即興で対応するかが腕の見せ所になる。

STEP1で触れた「ミクロ連携」がベースにあることが前提。トレードキル(味方が倒された直後に敵を倒し返すこと)とカバー(味方の援護ができる位置取り)が身についていないと、エクセキュートの途中で崩壊する。

サイトエクセキュートとは -- チーム全員で同時にサイトを制圧する

エクセキュートの構成要素 -- スモーク・フラッシュ・エントリーの順序

エクセキュートにはいくつかのフェーズがある。順番が大事で、1つ飛ばすと全体が崩れやすい。

フェーズ1: 情報取り(デフォルト)

ラウンドが始まってすぐにサイトに突っ込むチームはほとんどない。まずはマップの各所に散らばって情報を取る。敵がどこに何人いるのか、相手の配置を推測する段階。この初動の展開をデフォルト(default)と呼ぶことが多い。

Valorantなら各サイトの入口付近で足音やアビリティ(キャラクターごとの特殊スキル。偵察・妨害・攻撃などの種類がある)の使用音を聞く。CS2ならバンク(マップ上の中間地点)やミッド(マップ中央エリア)でのコンタクトの有無を確認する。

フェーズ2: ミッドラウンドコントロール

デフォルトで得た情報をもとに、マップの支配権を広げていくフェーズ。特定のエリアを取る、あるいは取ったふりをして相手のローテーション(守り側が配置を移動すること)を誘う。

ここで重要なのが「マップコントロール」という概念。自分たちが安全に通れるエリアを広げていくこと。敵のいないエリアをクリアリング(安全確認)しながら前進し、最終的にエクセキュートを仕掛けるルートを確保する。

フェーズ3: エクセキュート

スモーク・フラッシュ・モロトフ(特定のエリアに火炎や毒を展開して、そこに留まれなくするグレネード系アビリティ)を一気に使い、サイトに侵入する。

構成要素はこうなる。

  1. スモーク: 守り側の射線(弾が通るライン)を遮断する。エクセキュートの最初に投げる
  2. モロトフ/毒: 守り側が隠れているポジションから炙り出す
  3. フラッシュ: エントリーの直前に投げて、守り側の視界を奪う
  4. エントリー: 最初にサイトに入るプレイヤーが突入する
  5. トレード/カバー: エントリーの直後に味方が追従し、トレードキルを狙う

順番が大事だと書いた理由がここにある。スモークを投げる前にエントリーすれば、守り側の全射線が通ったままの状態で飛び込むことになる。フラッシュなしでエントリーすれば、守り側は落ち着いてエイムを合わせられる。

タイミングの統一 -- カウントダウンと合図の方法

5人が同時にアクションを起こすには、何らかの合図が要る。

よく使われるのが「3、2、1、Go」のカウントダウン。IGLまたはエクセキュートを指示するプレイヤーがVCで数えて、「Go」のタイミングでスモークを投げ始める。

もう一つの方法が「トリガーアクション」。特定の行動をトリガーにして動く方式。たとえば「Aサイトにスモークが落ちたらフラッシュ投げて」「フラッシュが光ったらエントリーして」という連鎖型の合図。カウントダウンより柔軟だけど、1つのアクションが遅れると連鎖全体がずれるリスクがある。

最初のうちはカウントダウン方式が安全だと感じる人が多い。チームの練度が上がってくると、トリガーアクション方式のほうが状況に応じた微調整がしやすくなってくる。

エクセキュートのバリエーション設計

速攻(ラッシュ)型 vs じっくり型のエクセキュート

エクセキュートには大きく2つのタイプがある。

ラッシュ型: デフォルトやミッドラウンドをほぼ省略して、ラウンド開始直後に一気にサイトへ入る。スモークとフラッシュを最低限投げて突入するスピード重視のスタイル。

メリットは、守り側にローテーションの時間を与えないこと。サイトを守っている人数が少ない状態で突っ込めるから、数的有利を作りやすい。

デメリットは、ユーティリティ(スモーク・フラッシュ・モロトフなどのグレネード類全般)を効率よく使えないこと。走りながらスモークを投げると定点(あらかじめ練習した投げ位置から特定のポイントに着弾させる投げ方)がずれやすいし、そもそも全員分のユーティリティを使い切る前にサイトに着いてしまう。

じっくり型: デフォルトで情報を取り、ミッドラウンドでマップコントロールを広げ、最後にフルユーティリティ(全てのスモーク・フラッシュを計画通りに使い切る状態)でエクセキュートする。

メリットは、成功率が高いこと。守り側のポジションを特定したうえで、それを封じるスモークとフラッシュを計画的に使える。

デメリットは、時間がかかること。守り側にローテーションの余裕を与えてしまい、サイトの守り人数が増えている可能性がある。また、ラウンド後半に時間が足りなくなるリスクもある。

チームとしては両方のパターンを持っておきたい。相手の守り方によって使い分けられると、試合中の選択肢が広がる。

フェイクエクセキュートからのローテーション戦術

「Aサイトに攻めると見せかけて、Bサイトに攻める」。フェイク(fake)はFPSのチーム戦術では古くからある定番の動き。

フェイクの基本は、Aサイトにスモークやフラッシュを投げて「こちらに攻めてくる」と守り側に思わせること。守り側がBサイトからAサイトにローテーションしたところで、実際にはBサイトにエクセキュートを仕掛ける。

ただし、フェイクには難しさもある。Aサイトに投げたユーティリティは実質消費されるから、Bサイトへのエクセキュート時にはユーティリティが減った状態で戦うことになる。「フェイクに使う分」と「本命のエクセキュートに使う分」のリソース配分をあらかじめ決めておくことが大切になる。

上手いチームは、フェイクの規模を調整できる。最小限のユーティリティで最大限のプレッシャーをかけるフェイクと、本気のエクセキュートに見えるフルフェイクを使い分けている。これは経験と練習でしか身につかない領域だから、最初は「スモーク1本+フラッシュ1本でフェイクして、残りのユーティリティで本命サイトに入る」くらいのシンプルなパターンから試してみるといい。

エクセキュートは「台本」を用意してから即興で調整する

サイトエクセキュートの核は「事前に台本を作ること」と「台本通りにいかないとき即興で対応すること」の両立にある。

台本の作り方は次のSTEP以降でも触れるけれど、最低限必要なのはこの3つ。

  • 誰がどのスモークを投げるかの担当割り
  • エントリーの順番(先頭・2番手・3番手の役割分担)
  • エクセキュートの合図(カウントダウンかトリガーアクションか)

これが決まっていれば、あとは実践の中で調整していける。最初の台本は粗くていい。「スモークはこことここに炊く、エントリーは誰々が先に入る、合図は3カウント」。これだけでもバラバラに突っ込むのとはまるで変わる。

台本がない状態で「なんとなく合わせる」のは連携ではない。再現性がないから、うまくいったラウンドを次に活かせない。逆に失敗したときも「台本のどこが悪かったのか」が検証できない。まずは台本を1つ作るところから始めてみよう。

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