IGL(指揮官)の考え方 -- バトロワでチームを勝たせるコール術
ここまでのSTEPで報告・フォーカス・蘇生判断・動線設計と学んできた。これらの要素を統合して、チーム全体の動きをコントロールする存在がIGL(In-Game Leader、インゲームリーダー)だ。
IGLはプロチームや競技シーンで使われる用語だが、ランクマッチでも「チーム内で一番状況を見ているプレイヤーが指示を出す」という形で自然発生することが多い。ここではIGLの考え方と、チームの意思決定を円滑にするコール術を見ていこう。
IGLとは -- チームの意思決定を担う指揮官ロール
IGLに求められるスキル -- 情報整理 / 決断力 / コミュニケーション
IGLの役割は「チームの意思決定を行い、全員を同じ方向に動かすこと」だ。必要なスキルは3つある。
情報整理: 味方の報告、ミニマップの情報、安置の状況、残りチーム数などを頭の中で常に整理しておく。情報が散らかっていると正しい判断が下せない。
決断力: 「行く」「引く」「待つ」を迷わず決断する能力。100%正しい判断は不可能だが、チーム全員が迷っているよりも、1人が決断してチーム全体が動いた方が結果は良くなりやすい。
コミュニケーション: 決断を味方に伝える力。「北に移動する」「この戦闘は引く」「あの建物を取る」。短く、明確に、迷いなく伝える。
IGLは「上手い人」ではなく「判断が速い人」が向いている
IGLに向いているのは、必ずしもエイムが一番上手い人ではない。むしろ「状況判断が速く、コミュニケーションが得意な人」の方が向いている。
エイムが上手い人は戦闘中に集中して射撃に専念した方がチームの火力が出る。IGLは戦闘中も全体の状況を見渡す必要があるため、ある程度エイムから意識を分散できる人の方が適任だ。
プロシーンでは、チームのIGLが必ずしもキル数トップではないことが多い。代わりにラウンド後のインタビューで「判断の根拠」を論理的に説明できる人が多い。判断力と言語化能力がIGLの核になる。
バトロワIGLの実践テクニック
安置収縮前にチームの行動計画を決めておく
バトロワのIGLが最も力を発揮するのは「次の安置が表示されたタイミング」だ。このタイミングで次の判断を行い、チームに共有する。
- 移動先: 次の安置のどこにポジションを取るか
- 移動ルート: どの道を通って移動するか(地形利用、敵回避)
- 移動タイミング: 今すぐ動くか、安置が縮むギリギリまで待つか
- 移動中に戦闘が発生した場合のプラン: 戦うか避けるかの方針
これを安置が縮む前に決めておけば、チーム全体が迷いなく動ける。「次の安置出た。北東の丘に向かう。ルートは建物沿い。戦闘は避ける」。このレベルの指示が出せれば、チームの行動速度が大きく上がる。
ALGS(Apex Legends Global Series:Apex Legendsの公式国際大会)のプロチームの通話を聞くと、安置が表示された瞬間にIGLが行動計画を宣言しているのがわかる。この「先に決める」習慣がチームの強さに直結している。
戦闘の「開始」と「撤退」のコールを明確に出す
IGLの最も重要なコールは「戦闘の開始」と「撤退」の2つだ。
戦闘開始のコール: 「仕掛ける」「行く」「フォーカスあの敵」。全員が同時に動き出すことで、STEP2で学んだフォーカスが成立する。1人が勝手に撃ち始めると、残り2人の準備が整っていない状態で戦闘が始まってしまう。
撤退のコール: 「引く」「撤退」「この戦闘は終わり」。撤退のコールは開始のコールよりも難しい。なぜなら、戦闘中のプレイヤーは「あともう少しで倒せる」という気持ちになりやすく、撤退したくないからだ。しかしIGLは全体の状況(漁夫の気配、安置の残り時間、味方のHP)を見て冷静に「引く」判断を下す必要がある。
プロの試合では、IGLの撤退コールが出たら全員が即座に従う。ここでもたつくと全滅する。ランクマッチでも「撤退コールが出たら議論せずに従う」というルールをチームで共有しておくと良い。
まとめ -- IGLがいるチームは「迷わない」から強い
IGLの存在価値は「チーム全体の意思決定を統一すること」にある。
- IGLは情報整理+決断力+コミュニケーションの3スキルが核
- 「上手い人」ではなく「判断が速い人」がIGLに向いている
- 安置表示のタイミングで行動計画を即座に共有する
- 戦闘の「開始」と「撤退」のコールを明確に出す
S3「チーム報告とフォーカス」シリーズでは、報告の基本からIGLの考え方まで、チーム連携の全体像をカバーしてきた。
個人のスキルが高くてもチーム連携がバラバラなら勝てないし、逆にチーム連携が良ければ個人のスキル差をカバーできる。バトロワの勝率を上げたいなら、エイム練習と同じくらいコミュニケーションの質にも注目してみてほしい。
次のシリーズ「マインドセット」では、バトロワ特有の思考法と上達のための心構えに踏み込んでいく。






